本来は透明でみることができない細胞や分子を可視化するバイオイメージング法や光で細胞を操作するオプトジェネティクス法の進展は近年生命科学において大きなブレイクスルーを生み出しています。私たちはこれらの手法と相性の良いモデル動物ホヤを用いて、地球上の多種多様な生物のなりたちを発生や進化の側面から理解することを目指しています。脊索動物の個体発生に共通してみられる形態的特徴が生じる機構や変態機構の解明、透明生物の発生機構解明、神経回路の生成機構解明などの基礎研究を行っています。これらの研究は発生における新たな知見をもたらし、再生医療や疾患原因の解明などへの貢献が期待できます。また、バイオイメージングに適したモデル生物の構築や生物多様性教育プラットフォームの構築にも取り組んでいます。
変態から学ぶ臓器を作り変えるしくみ
変態スイッチ発見 ホヤの「鼻先」を押すと大人になる仕組み
-環境からのシグナルを体内に伝え変態を促すカルシウムイオン-
親からのひとり立ち?
―自分の身は自分で守る、ホヤ変態時の体外細胞の置き換わり―
動物の行動が生じるしくみ
頸(うなじ)の中に潜む操縦士を発見!
-わずか1対の神経細胞がホヤ胚の自律的な運動を司令する-
一対の神経細胞が一生の“泳ぎ”のリズムを生み出し続ける!?
生体透明機構解明と新モデル生物化
「見えない」ホヤ幼生の発見
-可視光を90%通す超透明生物への進化-
侵略的外来種ホヤの「ステルス性」の活用
-バイオイメージングのための新規モデル生物へ-
Database
当研究室で構築したデータベース
当研究室で開発したデータベース・教育プラットフォームは研究遂行上有用であるだけでなく、教育材料として大いに役立つものであり、教材・知的財産として貢献しています。
FABA
Hotta et al.
受精から孵化幼生までの3D発生段階表データベース。現在までに150以上の査読付き論文が引用。FABAは単体ホヤ研究における発生段階の国際標準となっている。
FABAを見るTunicAnatO
Shito, T.T., Hasegawa, N., Oka, K., Hotta, K., (2020). Phylogenetic comparison of egg transparency in ascidians by hyperspectral imaging. Sci. Rep. 10, 20829
FABAに続き孵化幼生以後の変態期、幼若期までを網羅した3D発生段階プラットフォーム。ホヤの変態を含む後期発生ステージの定義と1細胞レベルの3Dイメージングによる解剖学的オントロジーを網羅的に同定し、変態とは88の幼生器官の退化と93の成体器官の分化が同時に起こる現象であることを明らかにした。
TunicAnatOを見るVRinkai
2020年度より、オンライン上でも顕微鏡を覗いた映像を疑似体験できるオンライン教材EducAnatOおよびVisual図鑑Online Bio-Anatomy for Keio Education (OBAKE)を開発・公開(教育・研究調整予算(日吉))
VRinkaiを見るRAMNe
Funakoshi et al., 2021
透明ホヤ発生段階定義&高精細画像リソースRAMNe。ヨーロッパザラボヤは透明、世界中に分布、外来mRNAが未受精卵から翻訳されるといったイメージングに適した特徴を有す。この透明ホヤをイメージングに適したモデル生物にするため発生段階定義&高精細画像リソース構築した。Frontiers in Developmental Biologyの論文公開当時歴代2位のview数(2022年1月において3000 view以上)を記録。
RAMNeを見る